「単刀直入に申し上げましょう。この台本では上演許可は出せません」
舞台は昭和15年、戦時下の日本。座付作家の椿(稲垣吾郎)が検閲官・向坂(役所広司)の無茶な修正を受け続けていたら、なぜか脚本がどんどん面白くなってしまう話。
登場人物はほぼ2人だけで、場転もほぼないので気楽に観れる。(ちょっと吾郎ちゃんの演技力が気にはなるが)
序盤は超コメディ、後半はちょっと切ない感じで、「笑えて泣ける」三谷幸喜コメディを体現している作品だと思った。やや冗長な感じはあるものの、最後の名シーンだけでお腹一杯になれる良作。
以下、セリフメモ。
「"このままでは出せない"と言いました。裏を返せば、直せば出せる可能性があるということです」
「注文は大きく1つ。設定を日本にして、登場人物を全員日本人にしてください」
「チャーチルが寿司を握るから意味があるんですよね!直しました」
「どこかに"お国のため"というセリフを入れてください」
「人を笑わせることがそんなに大事なことだろうか?」
「…大事だと思います」
「いかなる場所であろうと、接吻を認めるわけにはいきません!!」
「どうしても笑いの方向に入ってしまうんですぅ…」
「あなたは作家の鑑だ。相手に何を言われても、頑張ってください」
「笑いの要素を全て排除してください」
「私は笑いのない喜劇を書けと言っているんだ。そんなことできるわけがない!」
「やってみなくちゃわからないだろ!!」
「面白すぎる!一体これはどういうつもりだ!!」
「83回だ!今まで心の底から笑ったことのなかった私が、83回も笑ったんだぞ!!」
「状況が変わったんです。夕べ家に着いたら、これ(赤紙)がきておりました」
「たとえ許可が降りても、幕が開くとき僕はもう浅草にはいません」
「…ということは、あなたは赤紙が届いたその夜に、こんな愉快なものを書いたんですか」
「生きて!帰ってこーい!!」
「大好きなんだ…!!」