佐藤克巳

野良犬の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

野良犬(1949年製作の映画)
5.0
志村喬のベテラン刑事が余裕綽々で放つ駄洒落が愉快だが、中でもアプレゲールを「呆れケール」は、本作の本質を突いていた。戦後黒澤明監督作品に多く見られる大上段にヒューマニズムを構える感じが薄く、犯罪サスペンス映画に徹した好感持てる傑作。真夏のある日、警視庁第一課新米刑事村上三船敏郎が都電で拳銃コルトを擦られ、女スリ岸輝子を追跡次に街を徘徊、科学班でピストル強盗事件の銃弾照合でそのコルトと判明、淀橋署刑事佐藤志村が参画、後楽園球場で捉えたピストルブローカー山本礼三郎から踏み倒された男の身分証米穀手帳?から遊佐木村功を突き止め、実家を捜索。遊佐が村上と同じ復員兵で、幼馴染ダンサー淡路恵子に惚れている。遊佐が、淡路に高級ドレスをプレゼントする為強盗殺人を犯す。宿泊ホテルで佐藤に追い詰められ銃撃逃走、午前6時に淡路と駅待合せ、そこに村上が現れた。あの高台家屋からのピアノ曲が流れる有名な格闘場面に至る。おそらく、最も調和の取れた黒澤作品であろう。
佐藤克巳

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