Omizu

山びこ学校のOmizuのレビュー・感想・評価

山びこ学校(1952年製作の映画)
3.7
【キネ旬日本ベストテン1952 第8位】
とにかく状態が悪く、3割くらいセリフが聞き取れなかった。映像も乱れがひどい。同じ年の黒澤明『生きる』や成瀬巳喜男『稲妻』、木下恵介『カルメン純情す』などはちゃんと残ってるのにこれはちょっとひどい。修復してほしい。

山形県山元村の教師、無着成恭が生徒たちの文集、生活記録をまとめた『山びこ学校』が原作。『山びこ学校』は2年間で18刷を重ね、12万部を売り上げるベストセラーとなった。

教師の無着を演じたのは『七人の侍』『生きる』など黒澤作品の常連でもある木村功、同僚の教師に『青い山脈』『山の音』などの杉葉子。

ヒューマニズム溢れる正統派な人間ドラマで、田舎の貧困の現状や教育を厳しくみつめた作品でもある。戦争で親を亡くした児童、学校を辞めさせられ奉公に行かされる児童、児童売春の話も出てくるなどその視線はかなり厳しい。

あと「おひかりさま」って何かと思ったら新興宗教の世界救世教のことらしい。北海道では霊波之光が盛んだったのを思い出した。北の方は新興宗教入ってきやすいんだよね。

終盤文集を子どもたちと印刷するところは『ペンタゴン・ペーパーズ』を思い出した。印刷物が、言葉が世に出る快感というか。

ただ無着が葛藤する場面というのがなく、神のように描かれてるのがリアリティを薄くしている。児童の問題も親に説教すれば大抵解決しちゃうのでどうなんだろうとも思ったり。

いい映画だとは思うので修復お願いします。
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