ひでやん

浜辺の女のひでやんのレビュー・感想・評価

浜辺の女(1946年製作の映画)
3.3
沿岸警備隊の中尉と謎めいた女性による愛と疑惑の物語。

ある日、沿岸警備に出たバーネットは浜辺で薪を集める女性と出会う。彼女には元画家で盲目の夫がいて、彼女に惹かれたバーネットは、夫は盲目のふりをして彼女に身の回りの世話をさせているのではないかと疑う。

視覚以外の感覚が研ぎ澄まされているようには見えず、盲目に見えない演技が残念だった。観客に盲目だと思わせ、実は見えていましたという展開なら良かった。

すぐにでも結婚したい婚約者がいるのに、浜辺で出会った人妻を愛するのが、いまいち説得力に欠ける。

盲目の夫がバーネットと友達になりたがるのも、彼を信用するのも不自然。

船が機雷と接触して沈没した体験がトラウマとなり、悪夢に悩まされている男が海に出るのも辻褄が合わないし、沿岸警備隊の中尉が盲目の男に負けるなんて脚本が破綻している。

冒頭、悪夢の世界を「水」のイメージで描き、ラストは「火」で解放を表すのは良かった。

馬で浜辺を進むバーネットが、難破船へと続く足跡を見つけ、そこにいた彼女と抱き合うシーンが一番好きだった。ルノワールが撮るキスシーンは切なくて、なんか凄く好きだな。
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