RAY

ウォーリーのRAYのレビュー・感想・評価

ウォーリー(2008年製作の映画)
4.2
“心を繋ごう”


気になってはいたものの、観たことがなかったこの作品。
きっかけはフォローさせて頂いている方のレビューでした。


すごくすごく素敵な作品だと思いました。
台詞がほとんどないと言っていいくらいないのに多くのメッセージが感じられる。
こんな作品はそう多くはないと思います。

映画の表面的なお話を先にすると、やはり、映像の美しさは素晴らしいです。
キャラクターの動きや表情はとても活き活きとしているし、空間の描き方も際立っていました。
この素晴らしい映像があったからこそ、台詞がほとんど無いこの作品の内容が、観る人に響いたのは間違いないと思います。


この作品の主人公はウォーリー。
ウォーリーは、ある日出会ったロボットのイヴに恋をします。
美しいシーンは幾つもあるのですが、ウォーリーがイヴに恋をした“瞬間”が僕はとても印象的でした。
たとえば、好きな人ができて、その人の好きなところを考えた時に、もちろん優しいところが好きだとかそんなことだって言えるんだけど、きっと自分にしか分からない様な、自分にしか見ることが出来ない様なそんな表情がたまらなく好きだってことがあると思います。
それはきっと、理屈を超えて自分の心にずんっと刺さって離れない。
顔が可愛いからとかカッコいいからとかそんなこととは違う大切な理由なんだと思います。


この作品のメッセージでもあるのかもしれないのですが、大切なことだなと思ったことがもう一つあります。
先に書いた様に、この作品の主人公はロボットです。
あまり適切な表現ではないかもしれませんが、ロボットと言うと、とても無機質なイメージを持ってしまいます。
ですから、ウォーリーがイヴに恋をすることについても巧く表現されるのかなと思っていました。

僕たち人間は、好きな人には好きだと伝えるし、その先の愛情表現として、抱きしめたり、キスをしたり、セックスしたりします。
だけど、ロボットはそれらの多くが出来ない。
それでも、この作品で描かれた恋が間違いなく本物だと感じる事が出来たのは、誰かを愛していると言うことの本質がそこに描かれていたからだと思います。
それは、大切な人がそこにいることです。
この作品の舞台は世界のどこよりも広い場所である宇宙でした。
星の数ほどいる生き物の中で出会った誰かが、いま側にいてくれること。
こんなに素敵で大切なことはないんじゃないかと思います。

劇中にiPodが登場するのですが、当のウォーリーはVHSを取り出したりします。
ここにはちょっとした時代の矛盾を感じるのですが、これは監督のある意図によるものだそうです。

「技術はどんどん新しくなっていきますが、ウォーリーはどんな時代のものでも対応出来るってことをしめしたかった」

これはウォーリーとイヴの恋や、すべての人の恋にも同じことが言えると感じます。
自分を大切にすることも、大切な誰かのために変わることもどちらもきっと出来る。
僕はそんな素敵なメッセージだと受け止めました。


いい歳したおじさんが恋について長々と語ってしまって少し恥ずかしいですが、こんな風に語りたくなるくらい素敵だったと思います。
ちなみに、映画のメッセージは恋以外にももっとたくさんあります。
これ以上書くと読んでもらえないと思うので、レビューはこれくらいにしておきます(笑)。


読んで下さった皆様ありがとうございます。


観て良かった。
RAY

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