このレビューはネタバレを含みます
新兵を除隊させていく兵士の話。
主人公は上官の命令に逆らう、風変わりな兵士ボズ。
逆らうと言っても、彼のやる事は無断外出したり、仲間に除隊のアドバイスをするといった平和的なもの。
常にヘラヘラとした態度も印象的で、個人的には『暴力脱獄』を想起するものがあった。
弱き者や傷つきし者へのシンパシーを忘れない彼は、非常に人間的な優しい心を持ったキャラクターだと言えるだろう。
だからこそ、人間から人間らしさを消失させる戦争や軍隊というシステムに、彼は歯向かい反抗していたのかもしれない。
映画の後半は、人間の心を失ってしまったウィルソンとの対決や、親友であるパクストンとの友情が試される展開が描かれる。
ウィルソンをボズの対照的な存在として配置しているのは分かるのだが、ボズが抗っていたのは、あくまで人を人でなくすシステムや体制だったはず。
それを最後に対個人の話にしてしまうのは、テーマを矮小化させてしまっている様に感じた。
また、パクストンとの友情関係も、そこまで深いものには感じられなかったし、ボズの理解者がパクストンしかいないのも寂しい部分。
ボズをもっとカリスマのある人物にしても良かったと思うのだが、こちらもまた個人レベルの話に収斂されてしまうのが惜しい。
100分という時間では、最後は話を小さくして、まとめ上げるのが精一杯という事だろうか。
中盤までは戦場版『暴力脱獄』という感じで楽しめただけに、終盤の失速が残念。
個人的には、あと20~30分長くして良いから、もっと厚みのある話を見たかった。