リミナ

ターミナルのリミナのレビュー・感想・評価

ターミナル(2004年製作の映画)
3.7
とある約束を果たすため、異国の空港で無一文からのサバイバル生活を始める男の物語。

まず目を引くのは母国の実状を知りショックを受ける中で周囲の人物には冷たくあしらわれてしまう序盤。主人公の姿を人混みが覆い、映らなくなるほどにカメラを引いていくカットの絶望感たるや。あらすじやビジュアルからもこうしたシリアスな描写が続くのかと思いきや、それはほぼ序盤のみで徐々にコメディ色が強くなっていく。

空港という万が一のことがあってはならない場、クーデターが発生した背景、法律の壁などのリアリティラインがある中で、各キャラがときに突拍子もなく自由に行動して物語が展開していくため、本作をコメディと割り切って楽しめるかどうかが分かれ目に思える。割り切れば空港内で過ごす2時間でも退屈せずに観られる。

空港というあまり代り映えない舞台で、主人公が持つ謎の建築スキルと行動力で住み着いている場所のビジュアルを変えていくのは強行的だが面白い。
他に印象的だったのは、序盤において複数言語で翻訳された本を並べて英語を覚える、カートを回収してお金を稼ぎハンバーガーで有り付くシーン。ラストシーンでタクシーの運転手に行き先を尋ねられた際に、実際のタクシーの行き先である空港ではなく家(=故郷)と答えたところ。
親日家であるスピルバーグ監督の計らいか、架空の空港でも吉野家や日本人が登場するのはふふっとなる。
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