ヒロオさん

生きるべきか死ぬべきかのヒロオさんのレビュー・感想・評価

生きるべきか死ぬべきか(1942年製作の映画)
3.8
1939年のポーランド侵攻後のワルシャワを舞台に、ナチスに抗うべく大芝居を打つ演劇人たちを描いた作品。

シリアスさとコメディがこんなにも絶妙なバランスで共存する作品はなかなかお目にかかれない。
チャップリンの作品以外では初めて。

平和だったワルシャワに突如訪れた破壊と緊張感、ナチスへの抵抗のメッセージを感じさせつつも、そこに軽快な会話を織り交ぜ、エンターテイメントへと華麗に昇華している。

ヒトラー全盛の1942年に、ここまでダイレクトにナチスを風刺する作品を作ったというのだから驚きだ。

邦題の「生きるべきか死ぬべきか」は、シェイクスピアの「ハムレット」のセリフであり、本作のストーリーを盛り上げるキーワードとなっている。
(原文では“To be or not to be”。本作内で”not to be”という言葉を聞いたソビンスキーが、言葉通り劇場から「いなくなる」のがユーモラス)

鑑賞後、「ハムレット」でこのセリフが出てくる場面の訳を読んでみたら、本作のメッセージ性がより深く伝わってきて興味深かった。
一つのセリフに対し、二重にも三重にも意味をこめる洗練具合に拍手👏
ヒロオさん

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