クリプトン星人

サイコのクリプトン星人のレビュー・感想・評価

サイコ(1960年製作の映画)
3.5
やっと見たサイコ。そしてヒッチコック。
あらすじすら読んでなかったからジャケの女性が主人公だと思ってた。

妄想系サイコパス映画かなと推測しながら見てたから早々に退場して驚き。
ジャケのイメージ強し。まさかのモブだったとわ。
それから探偵が登場して、まさかまさかの探偵モノかと思いきやこちらもあえなく撃沈。
というか、ここまではあらすじでしかなかったという。

事の真相がわかるシーンは時代がゆえかつい笑ってしまった。
ジム・キャリーに見えてしまったのは私だけか。

サイコパスって先天的なイメージだったけどそうでない人もサイコパスのカテゴリに入るのか。
だとしたらサイコパスと精神疾患の違いってなんだろう。

と、考えたくなるけど、まあ、それは別の映画にまかせるとして。

ヒッチコックの映画は直感的というよりかは、小難しさに重きをおいてるのかなという印象。
一時停止も出来ない初見じゃ頭から煙が出てきそうだ。

オッサンの説明がわかりにくかったから自分なりの解釈をば。※以下ネタバレ

閉鎖的な空間で独裁的な母親に育てられたため、拠り所が母親しかおらず依存していた。
母親に愛人ができたことにより、嫉妬と、裏切り、不安によって母親もろとも殺害。
おそらくまともな教育を受けていなくて未熟な思考がそうさせたのかと。
依存先がいなくなったことで精神を保つために自分の中に母親を作り出した。
そして、自分自身が母親になってしまったことで、異性に惹かれるということが許せなくなる。
ここが一番ややこしい。
とどのつまり、異性に惹かれるという行為が、愛人に母親を奪われるということを連想させられて殺害に至るということ。
で、その殺害も母親に頼っている。

総括すると、ノーマンは母親を殺して尚母親に依存している自我を持たない可哀想な男。
男は圧倒的被害者で、母親は圧倒的加害者。
この映画の本質的テーマはサイコパスではなく、それを生み出した「毒親」についてだと考えられる。
しかし、その母親もサイコパスだったのではと問われると「ぐぬぬ…」
一生懸命考えた考察が無駄になるので敢えてスルーしたい。
けどやっぱりヒッチコック自身の経験を基に作られている気がする。
でないとこんな映画思いつかないでしょう。
サイコパスからサイコパスが生まれるという道理もないし。
というわけで、名探偵気取りでこのレビューは終わりにしたい。

それにしても、サイコを被害者として描いているこの映画で、サイコという言葉が異常者として広まってしまったのなら、ヒッチコックは笑いが止まらないだろうな。