佐藤克巳

翼の凱歌の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

翼の凱歌(1942年製作の映画)
5.0
戦後散々ぱら左翼プロパガンダ映画を撮りまくった山本薩夫監督が、当時右も左も挙国一致で祖国防衛に勤しんでいた頃の、陸軍戦闘機隼の試験飛行を見事に捉えた山本の最高傑作であり、実機をふんだんに使用した日本映画では稀に見る迫力が楽しめる大好きな戦争映画作品の一つである。嵐に巻き込まれ墜落した操縦士の妻入江たか子は、実子兄杉裕之と同乗航空機関士の子弟杉幸彦を分け隔てなく育てたが無理が祟り倒れ、兄に義兄弟の事実を知らせ弟の面倒を頼み息を引き取った。兄は陸軍少年飛行兵を志願、弟は逓信省航空機乗員養成所に進み、それぞれ陸軍飛行大尉岡譲二、中島飛行機テストパイロット月田一郎として隼の試験飛行に臨んだ。月田が搭乗しテスト飛行が行われたが墜落負傷し、叔父娘花井蘭子の許婚設計責任者大川平八郎は二号機製作に取り掛かる。月田は、見舞いに来た大川の妹「プロペラ親爺」の若原春江から次回テストは岡が行うと聞き岡と対立したが
当日飛行場に駆けつけた。岡が搭乗し背面飛行のテスト時異常が発生、緊急着陸した結果機体の脆弱性が判明した。やがて大東亜戦争が開始され南方戦線に立つ二人は、隼に機上しボーイングB17を撃墜した。
佐藤克巳

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