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アデルの恋の物語のSariのレビュー・感想・評価

アデルの恋の物語(1975年製作の映画)
4.0
『レ・ミゼラブル』などで知られるフランスの文豪ヴィクトル・ユーゴーの次女アデル(アデール)の狂気的な恋の情念を描く。

ヴィクトル・ユーゴーの娘、アデル・ユーゴーは、イギリス軍中尉の青年に一目惚れした。以来、青年の任地が変わるたびに、アデルも彼について回る。
そして彼女の愛は、次第に執念とさえ呼べる激しいものになっていく......。

◼️
フランセス・ヴァーノア・ギールの『アデル・ユーゴーの日記』が原典。
トリュフォーの古典主義への回帰を決定付ける作品となった作品である。

トリュフォーとネストール・アルメンドロスとの4作目となる作品が、この『アデルの恋の物語』。主演は、デビュー直後のイザベル・アジャーニ。
18歳のイザベル・アジャーニの「いままさに変化しつつある体と顔のすべて」を一刻も早く撮りたかったというトリュフォーの、1960年代のトリュフォー作品の激情の演出とは異なる、円熟味を帯びた演出を堪能することが出来る。映画女優というものが最も美しく撮られた作品であり、この作品に他ならない。
自然光を生かし、キャメラの露出をギリギリまで落としたネストール・アルメンドロスの撮影は、映画の最高峰とも言うべき繊細さで、イザベル・アジャーニの表情の震えを捉えている。
女優を撮りたい映画監督たちは必ずこの作品を観るべきだと思え、果たしてこの作品を観た後で、女優を撮ろうと思えるのだろうか。

2024/02/07 DVD
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