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ジェネラル・ルージュの凱旋のodyssのレビュー・感想・評価

4.2
【推理ものではなく社会派ドラマ】

前作の「チーム・バチスタ」はあまり感心しませんでしたが、今回はよくできていますね。

といっても、推理ドラマとしてはイマイチでしょう。竹内結子と阿部寛も存在感がやや薄くなっています。

そう、これは推理ドラマと言うより社会派ドラマなのです。テーマは昨今新聞をにぎわしている救急医療。いくつもの病院に断られた救急車が急患を乗せて立ち往生・・・という、一般市民が疑問と腹立ちを感じてしまう問題を真正面から取り上げています。

もっとも、そういう観点からすると、現場の医療体制や医師や看護師だけの問題ではなく、管轄官庁である厚生労働省の見通しの甘さも取り上げられなければならないはずですが、エリート官僚役の阿部寛はどういうわけかそういう観点には全然触れません。まあ、これはこの映画がお役所に気兼ねしたからというより、そこまで話を広げると話が拡散しすぎるからでしょうけれど。

急患を次々と受け入れて修羅場のようになる病院のありさまが迫力をもって描かれています。そしてそれを支える堺雅人と羽田美智子のコンビもいい。堺雅人は、意外なキャスティングのような気がしますが、これが実によく合っている。羽田美智子さんも(私はファンなので「さん」をつけちゃいます)、『RAMPO』の頃と比べるとさすがにお年は隠せないけれど相変わらずキレイですね。失礼ながら竹内結子よりよほど魅力的です。(私の好みをモロに出した文章です。すみません。)

阿部寛の役は狂言回し的なところがあって、最後でもオチをつけていますが、そういう小器用な作りより、患者を救おうとする医師や看護師の熱意と労苦をシニシズムを入れずにきちんと描いている点で、高く評価すべき映画ではないでしょうか。
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