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不良少女モニカのgenarowlandsのレビュー・感想・評価

不良少女モニカ(1952年製作の映画)
4.0
フィル友さんのレビュー読んで、そろそろベルイマンを注入したくなり笑。今作はベルイマンらしい重さや難解さはなく、タイトルのような不良少女でもなく、自由奔放な少女の青春でした。モニカの伸びやかさや素直な感情表現が魅力的でした。

17歳だからできる人生の冒険。失敗しないように、迷惑かけないように生きることが推奨される時代では、わがままにみえるかもしれない。邦題にそれが表れています。原題は「モニカの夏」。若い二人の恋の逃避行の結果を模範的な大人たちは批判しますが。

ヤンママ、ヤンパパとは立派なもので、加えて遊びたいと思うのも当然。いわゆる愛着障害のモニカが子育てに飽きちゃう、もっとハリーにかまってもらいたい。ハリーが責任感あってよかった。無責任に子供つくるな、という話ではない。モニカはお腹に子供がいる間は愛おしそうだった。

道徳的な感想は筋違いな気がしました。くわえ煙草の化粧っけのないモニカがとても魅力的。ボートの上で日光浴するモニカ、島で裸で弾けるモニカ。ハリーはモニカのために、いい男になっていく。

ヌーヴェル・ヴァーグに影響を与えた作品。オープニングの遠景から少しずつ角度を変えて港の船に接近していく画が、物語から湿度を奪っていくようで、すごくよかった。「大人は判ってくれない」でアントワーヌや生徒たちの通学姿を隣の建物から俯瞰して撮っていたシーンを思い出しました。

ラスト近くでモニカがカメラに視線を投げつける。美しい野獣のおもむきでした。

ハリーの船の名前は「ひよこ」🐣。



今年中にベルイマンの監督作品をコンプする予定でした。ベルイマンは重いのでなかなか気がのらない。なのに中毒性があり、人間の(複雑に絡んだベルイマンの)深い闇を時々覗き見したくなります。本作で、レンタル・配信のベルイマンは23作目。あと1作残すのみ。レビュー書いていない作品もあるので、ベルイマンを欲したら、また観てレビューあげます。
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