Erica

籠の中の乙女のEricaのネタバレレビュー・内容・結末

籠の中の乙女(2009年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

「どの犬も人間が躾けてくれるのを待っている」「どんな犬を望んでいるのか私達が決めること」

3人の子供達

海・高速道路・遠足・カービン銃

ギリシャ郊外の豪勢な住宅

独裁者である父親に幽閉される家族

夫にマゾヒズム的従順さを見せる母親

今ある環境を当たり前かのように受け入れる子供たち

正装をして夕食の場につく家族

広い庭で遊ぶ子供たち

父親が追い求める完璧な家庭が少しずつ崩れる音をたてる

「犬歯」


父親は、家族の思い出のビデオを流し、fly to the moonに甚だしい誤訳をつけ、家族愛を確かめさせる。踊るのに疲れた妹に「無理せず休みなさい」と声をかける。

彼は彼なりの歪んだ信念をもって、家族を躾け、守ろうとしているのだと思わされる。しかしやはり、それは愛情と呼ぶにはほど遠く、犯罪的に歪曲しており、許されるべきでは決してない。


人間は、自由に考え、感じ、意志を持つことができる。
最後、姉は一歩踏み出す決断をしたと信じたい。


映画鑑賞中も観賞後も、ヨルゴス・ランティモス監督作品特有の、「居心地の悪さ」を感じた。

私は誤った常識の上に立っていないだろうか、自ら考えることを辞めていないだろうか、諦めによる従順さに慣れてしまっていないだろうか、私の誤った価値観を他人に植え付けていないだろうか。
そんなことを考えさせられた。
Erica

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