タカシサトウ

籠の中の乙女のタカシサトウのネタバレレビュー・内容・結末

籠の中の乙女(2009年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

 隔離された家庭環境では、子供はどうなっていくか的な話。

 父が、3人の子どもに、外の世界は邪悪だから、と家庭に閉じ込めておく。母もそれにならっている。家で守られるのは、基本的に、子供にとっては大事なんだろうけれど、それによって、外の世界に行きたいと思った時に、この親は虐待して、それを抑え込もうとする。性的にも倒錯。すると、子供は、人を攻撃したり、自分を攻撃したり、この映画のように性的に倒錯するようになっていくのだろう。

 親の思惑とは裏腹に、子供は、親のしたように(虐待したら虐待するように)なって行く、と言っている。

 だから、延々と奇妙な映像が続くけれども、子供はなるべくしてなっていく、というのを見せつけられる。まるで、実験のような映画だった。

 ラストで、長女が、成長と思って自分で歯を折って外の世界に飛び出して行くのも当然の成り行きに思えた。

 長女が外の世界に目を向けるきっかけになったあの、ビデオ、「ロッキー」と「ジョーズ」は分かったが、もう一つは「フラッシュダンス」らしい、全然分からず。

 ヨルゴス・ランティモス監督の初期作、かなり、皮肉なんだけれど、真面目と言えば真面目かも(2024.5.5)。