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パンズ・ラビリンスのmitakosamaのレビュー・感想・評価

パンズ・ラビリンス(2006年製作の映画)
4.4
個人的には現状のデルトロのベストは今作だと思ってる。それくらい独創性があり完成度が段違いに高い。

スペイン内戦が落ち着きフランコ政権が樹立。残党ゲリラの討伐の為に山奥の森の屋敷に移り住むことになった大尉な一家。
少女オフェリアは、母が大尉と結婚して疎外感を持ち本に没頭。妊娠中なのに無理矢理連れてこられ体調不良の母。冷酷で傲慢な義父。

ある日オフェリアは妖精に導かれ、山羊の牧神パンに出会う。
パン曰く、オフェリアは地下帝国の女王の生まれ変わりで、3つの試練を乗り越える事で帰れると告げられる。

とにかく禍々しい。妖精も虫が化けたものだ。
そして何よりパンだ。何故にパンなのか?
羊牧を司るパンは生殖の暗喩もある神だ。そこに倒錯的なエロティシズムを込めているのは明白。また山羊の半人半獣と言えば、悪魔バホメットも髣髴とさせる。明らかにデザインも悪魔寄りだ。
そもそもお姫様が地底の王国出身だというのも変だ。古来より世の東西を問わず、地下は地獄のイメージだ。

オフェリアはパンの言う通り試練をこなしていく。
最初はカエルに玉を食わせ退治する試練。

次が怖い。砂時計が落ちる前に短剣と手に入れて帰るのだが、そこにはペイルマンなる怪物が。禁止されていたご馳走様の一部を食べてしまいオフェリアはペイルマンに追いかけられる。
この妖怪手の目がクッソ怖ェのよ。今作ほど手に汗握りハラハラした映画は無いな。

禁忌を犯したが特別に試練は続行。と同時にレジスタンス側の反撃がジワジワ進む。
母のミルクにマンドラゴラの根を漬けて滋養強壮にするも、男を産んで母は死去。
現実世界でもハラハラが続く。

そこはかと無い少女の倒錯的なエロスと独創的なファンタズムが完璧にマリアージュした傑作!
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