三四郎

ジェイン・オースティンの読書会の三四郎のレビュー・感想・評価

3.5
これはおもしろい。ジェイン・オースティンの小説は大学時代に4冊読んだが、人物描写と心理描写が素晴らしく、どの作品も非常に興味深かった。私の最も尊敬する文豪夏目漱石は『文学論』で「Jane Austenは写実の泰斗なり」と絶賛しているが、まさにその通りだ。

この映画の中で「ジェイン・オースティンを読むような男だったら浮気なんかしない」というような科白があったと思うが、「確かに」と納得してしまった笑 きっとジェイン・オースティンが好きな女性も浮気なんかしないだろう。この映画の登場人物はそれぞれ悩みを抱えているが、オースティンの小説を再読し語り合い…、最終的にはオースティンの小説と同様にハッピーエンドで幕を下ろす。皆が前向きになり輝かしい未来へ乾杯する、この気持ちの良さ。

ベルリン・フンボルト大学留学時代に知り合ったシャーロットという笑顔が素敵だったフランス人の女学生も、ジェイン・オースティンは好きな作家の一人だと言っていたし、ウィーン大学の院生と文学について話した時も、彼女は学部時代の卒論をジェイン・オースティンで書いたと語っていた。「ジェイン・オースティン」という言葉が出たのはこの二人との会話の中だけだったと思うが、女性でジェイン・オースティンが苦手な人はまずいないのではなかろうか。
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