てっぺい

スタンド・バイ・ミーのてっぺいのレビュー・感想・評価

スタンド・バイ・ミー(1986年製作の映画)
4.5
【名曲に涙する映画】
ラストにかかる不滅の名曲が、芸術的に映画の内容とリンク。自分の過去にも重ねてしまう少年時代あるあるに、感情移入具合はもうマックスで、涙が止まらなくなる。
◆概要
原作はスティーブン・キングの短編小説「THE BODY」。監督は「最高の人生の見つけ方」のロブ・ライナー。出演は「マイ・プライベート・アイダホ」のリバー・フェニックス、「ネメシス/S.T.X」のウィル・ウィートン、「グーニーズ」のコリー・フェルドマンら。
◆ストーリー
オレゴン州の小さな田舎町キャッスルロック。それぞれに家庭の問題を抱える4人の少年たちが、町から30キロばかり離れたところに列車の轢死体が放置されているという噂を聞き、死体探しの旅に出る。
◆感想
どうしようもなく胸が熱くなる。自分がこの映画に登場する大人のゴーディと同じ年代になり、ドンピシャのターゲット世代になったという事だろうか。この映画ほど深く感情移入させてくれるものはないと思う。エンドであの有名曲がかかり、改めて歌詞の意味を噛み締めながら、涙が止まらなくなった。
◆縮図
共感だらけの描写の連続。死体探しという旅自体、車があればほんの数時間でついてしまうものでも、何日もかかり、でもそれがどうしよもなくワクワクしてしまう少年時代。“お返しナシのしっぺ”や、「ロリポップ」で踊り始めたり、たわいもない事で永遠遊べてしまうあの頃。進学で友と会えなくなることへの不安。でもいつからか自然に会わなくなり、思い出に変わっていく。そんな誰もが経験する、男子人生の縮図みたいなものがグッと詰まってる。
◆友情
そんな中に、自分の事を親よりも誰よりも思ってくれる友達。絶対的な安心感で繋がるクリスとゴーディ。2日間の旅で一緒に成長し、絆を深めたクリスがぼんやりフェイドアウトして、もう会えない事を悟るエンド。映画冒頭の“クリス弁護士刺殺”の新聞が繋がるこの映画の大きな伏線回収だった。
◆映画の山
自分の事をいつも気にかけてくれて、親よりも信頼してくれていた兄。そんな兄の葬式で泣けなかったのは、親の期待が自分に向かない事を恐れていたから。この映画の主体である死体探しのゴールにたどり着いた時、ゴーディが改めて思い出させられた親へのそんな恐怖感。常に冷静だったゴーディが唯一気を乱すこのシーンが映画の山場であり、同時にそんなゴーディに寄り添うクリスという絶対的な存在。これ以上ない友情以上の感情で2人が繋がるこのシーンが、とても印象的だった。
◆ヒル
印象的なシーンで言えば、無数のヒルに覆われるシーンもピカイチ。子供の頃、このシーンの印象が強すぎて、ゴーディと同じく気絶しかけたのを覚えている笑。
◆共通点
改めて見返すと、自分のベスト映画の「マイフレンドフォーエバー」に共通する点がたくさん。少年時代の友情物語、旅に出る映画の軸、最大のピンチに主人公の勇気で大逆転するところ。死んでしまう少年の立ち位置は正反対ながら、どちらの主役も(この映画ではクリス役のリバー・フェニックス)その後薬物で亡くなるところ。。そんな事も感じながら見ていた。

昔見た映画を見返すと、こんなシーンがあったんだとか、こんなメッセージがあったんだとか、全然違う楽しみ方に気づく。改めてそんな映画の奥深さを感じられました。いやーやっぱり映画って素晴らしい。
てっぺい

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