あさひ

8月の終わり、9月の初めのあさひのレビュー・感想・評価

8月の終わり、9月の初め(1998年製作の映画)
4.6
映画としてすごく自由な印象。フェードアウトを多用し、ストーリーも断片的。半自伝的というのが、それらとマッチして絶妙な感じがした。作者の記憶の断片のようでもあった。
ただ、その雰囲気に入り込むのに少し時間がかかってしまったため、最後まで感情移入しきれない感覚があった。

“死”をその周囲にある“生”を通して描いているのが、良かった。そしてまた、その“生”の描き方が恋愛を主軸にしているというのもフランスっぽくて軽やかで良い。どうしても“死”というテーマに引っ張られて重くなりそうなところを見事に回避して、“死”がもたらす悲しみと残された人々の姿を等身大に描き出していて、とても良かった。

ラストの爽やかさもいい。近しい人の死が時間を経て、登場人物たちの心情の中で、どのように変化していったのかが見事に表現されつつ、決してアドリアンの死が映画の中で蔑ろにされていない感じもあり、非常に良かった。
あさひ

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