♪ おまえの涙も 俺を止められない
いまさら失うものなど 何も無い
1996年の作品にしては古い感じ。
…なんて思っていたらリメイクだったんですね。納得です。誘拐事件なのに報道協定がないとか、犯人を追い詰める手段が甘いとか。それも仕方ない話だったんですね。
それに本作の白眉は中盤以降。
子供を奪われた父親を演じたメル・ギブソンが“相も変わらず”のイカレポンチになってからが本番なのです。ゴーイングマイウェイっぷりが板についていました。
まさに暴走機関車。
激情に委ねた後に「オーマイガ!」と言われても、心を寄せることは出来ません。確かに犯人に反撃したのは少し痛快でしたけどね。少しだけね。
あと、本作の見どころはもう一点。
ゲイリー・シニーズとリーヴ・シュレイバー…この競演。悪役でアヴェンジャーズを組んだら、確実に二枚看板となる両雄。存在感を活かしきれていなかった気もしますが…その辺りは大目に見るが吉です。
それに誘拐を描かせたら日本の方が上。
名作『天国と地獄』を引き合いに出すまでもなく、映画化していない作品も含めれば、数多の傑作が転がっている国ですからね。言葉を選ばずに言えば「誘拐天国」です。
だから、目が肥えても当然の話。
それにアメリカは簡単に銃撃戦やカーアクションになりますからね。心理戦が育つには難しい土壌なのでしょう。その割に本作は健闘していたと思います。
まあ、そんなわけで。
サスペンスを期待すると物足りない物語。
役者さんの存在感を楽しむスタンスが良いと思います。
最後に余談として。
愚息が幼い頃に近所のTSUTAYAに出かけたら。
当時品薄だったファミコンミニが入荷していたんですね。勿論、鼻息荒く「ここで待っていなさい」とレジに並びました…が、購入して戻ったら愚息の姿はなく。
ガチで「これは誘拐か?」と焦りました。
しかも、目を離した理由がファミコンミニですからね。何の言い訳もできません。結局のところ、僕とはぐれたと思って“いつもの待ち合わせ場所”に行っていただけなんですが、子供から目を離してはいけない、と痛烈に思った次第です。父ちゃん、反省。