このレビューはネタバレを含みます
「あの頃のことを思い出すのは、私にサナギの季節が再び巡ってきたからなのだろうか」
27歳OLのタエ子が、自分を見つめ直す10日間の旅。山形で農業と関わりながら、彼女は小5の頃の自分を思い出していく。
終わり方が素晴らしかった!このまま東京に戻るラストかと思ったら、過去の自分に背中を押される形で、トシオとの田舎生活を決心。小学校の頃の友達と自分が電車に乗って見守ってくれる演出も良かったし、EDの牧歌的な曲も合っていた。タエ子が一歩踏み出した瞬間に立ち会えたことに感謝。
子供の頃の話はやたら辛いものが多くてなかなかシリアスな部分もあったけど、トシオの明るさに救われた。昔の子供も考えることは変わらないし、東京の人が田舎にきて「自然はやっぱりいい」みたいなこと言うのも変わらんのだなと。
笑顔の皺のリアルな描き方が印象的な作品。
以下、セリフメモ。
「やっぱり、果物の王様はバナナだった」
「ローマ風呂で卒倒し、初めてパイナップルを食べたあの夏」
「広田くんが凄いってことは、野球を知らない私にもわかりました」
「雨の日と曇りの日と晴れ、どれが一番好き?」
「…く…くもり…」
「あ、おんなじだ!」
「あ!生理の二人組!」
「こうして、私の二度目の田舎生活が始まった」
「分数の割り算がすんなりできた人は、その後の人生もすんなりいくらしいのよ」
「農家の嫁になる。思ってもみないことだった。自分にそういう選択肢があることに感動した」
「阿部くんが言ったの。"お前とは握手してやんねぇよ"って」
「どうしてトシオさんにこれほど甘えることができたのか、不思議だった。私が今握手して欲しいのはトシオさんだった。…握手だけ?」