adeam

子供たちは見ているのadeamのレビュー・感想・評価

子供たちは見ている(1942年製作の映画)
3.5
戦後ネオレアリズモの先駆けと称されるデ・シーカのキャリア初期の秀作。
子供を振り回す大人たちの事情をある1人の少年の視点から描く物語です。
母の不倫現場を目撃するシーンや海岸沿いを走るショットには「大人は判ってくれない」への直接的な影響が見られ、デ・シーカ自身が後に手がけるネオレアリズモ期の傑作群においても重要な純真無垢な者の視点が今作で形作られています。
中盤までは近隣住民の噂話や不倫相手がストーカー化する描写が入り、大人たちの愚かしさを描く狙いは良いものの、イマイチ子供視点に寄りきれていないためにそれらのエピソードが効果的でない印象でした。
しかし終盤の20分で少年をどん底に叩き落とす流れが凄まじく、一家にとっては悲劇である結末に溜飲が下がる思いをする程素晴らしかったです。
adeam

adeam