😭
戦時中の梅毒に関するお話。
『ファイブ・フィート・アパート』という恋愛映画を想起させる。本作が好きならぜひ見て欲しい。
前作に続いてお医者様の話。どちらかといえば『酔いどれ天使』は医者とヤクザのヒューマンドラマだったけど、本作は医療ドラマに恋愛要素を組み込んだ反戦映画といった感じ。同じ医者の話でもキャラも内容も全く違って、両者とも素晴らしかった。
三船は前作の狂犬ぶりとは打って変わって人道的で清く正しいお医者様の役。そして志村喬演じる医者の父親と二人三脚でやっている開業医。息がぴったりで、二人とも人格者で尊敬できる。
男の葛藤。フロイトの構造論を思い出す。
明るいハーモニカの音色が空気の重い医務室に響き渡りますなぁ。悲しい。
自分が辛い時にも苦しい顔ひとつせず、他人に優しく自分に厳しい。こんな聖人君子が...報われない。本当に辛い話だった。
本作のMVPは何と言っても千石規子。途中うざったいと思うこともあったけど、今思えば必要な過程だったし、物語において不可欠な存在だったから途中から好きになった。
全体的にやや説明的で説教くささもあるけれど、自分は全く気にならなかった。それはそれでいい。
三船のギラギラした雰囲気の演技が好きな人はあまり好まないだろうけど、自分は彼の演技の幅を感じて楽しめた。
梅毒の部分を時代に合わせて品を変えれば、現代にも通ずる普遍的なお話。色々と考えさせられた。傑作です。