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七変化狸御殿のKUBOのレビュー・感想・評価

七変化狸御殿(1954年製作の映画)
5.0
これは楽しいザ・ジャパニーズ・ミュージカル・エンターテイメント! スゲ〜いいもん、見っけた!

冒頭のたぬきの歌と踊りはハリウッドのレビュー系ミュージカルの日本版てな感じで、今見ると逆にオシャレ。1954年の白黒作品だけど、総天然色で見たかったな〜。

森に住む狸の娘「お花」(美空ひばり)が主人公で、『白雪姫』みたいな設定から、お城で若殿(王子様)に見染められる展開は『シンデレラ』。子分の狸ポン吉といっしょに旅をするのは『オズの魔法使』? てな感じで、ファンタジーのいいとこ取りを日本風にアレンジ。

ただ全部しっかりミュージカルになってるわけじゃなくて、ミュージカルホール風のダンスあり、今で言えばマツケンサンバみたいなお侍さんが歌ってたかと思えば突然チャンバラが始まるとか、舞台小屋の営業みたいなノリも。

主演は当時16歳の美空ひばり。「七変化」とあるように、又旅姿からお姫様まで7回のお色直しも楽しいし、主題歌「ひとりぼっちのお月様」をはじめ、少女の美空ひばりが歌いまくる。でも16歳でこの色気って、すごいな。

お花のライバルになるコウモリの娘「お誘」役の淡路恵子(当時21歳)もセクシー。おばあさんになってからしか知らなかったけど、若い頃はこんなに綺麗だったのね。

美空ひばりの七変化に合わせて、それぞれのステージに現れる敵やゲストもザ・ジャパニーズ! 

土蜘蛛の精の中村時十郎はもちろん隈取りをしたメイクで登場。お花との立ち会いも歌舞伎風の動き。清水港に立ち寄れば次郎長一家も登場! 当時のファミリー向け映画なのだろうが、子供を連れてきたお父さんが「待ってました!」と声をかけそうなシーンがいっぱい。

また長崎を目指す道中など、背景や建物などのマットペインティングによる美術が、日本なんだけど異国風のファンタジー感を産んでなんだか素敵。

これ、外国人とか好きだろうなぁ。アニメにしても絶対おもしろい!

古い映画だけど、当時の日本映画がこんなに自由だったなんて! 珍品だけど、掘り出し物見つけた! これ最高!
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