ヒデ

完全なる報復のヒデのネタバレレビュー・内容・結末

完全なる報復(2009年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

「殺された2人がお前の苦痛を見守る。2人を見て死んでいけ。まずは手脚を全部切断する」

妻娘を暴漢に殺された男が、担当検事の独断による司法取引で犯人が極刑を免れたことに絶望し、裁判に関わった人間を殺しまくる話。

犯人だけではなく、判事から検事の同僚に至るまで殺戮しまくるのがヤバい。しかも獄中から。あらかじめ送っていた検事家族への脅迫DVDや、時限式で酸素が切れる密閉所、携帯電話の着信を取ると発動する罠、車に仕掛けた爆弾など、ありとあらゆる手で司法側を追い込んでいく。関わった人間が一人ずつ死んでいくのはさながら『ファイナル・デスティネーション』のようであり、犯人が分かっているけど止められない恐怖が続くという意味では、小説『爆弾』のようなスリルがあった。

クレイグの「これが復讐だと?俺が戦ってるのは法制度だ。穴だらけの法制度。それと戦ってる」というセリフに象徴されるように、彼が破壊しようとしているのは法制度そのもの。正しくない判決が罷り通る司法への爆発的な怒りが、彼を10年がかりの計画殺人へと駆り立てた。自分で自分を弁護し釈放を勝ち取った後に、「全く最高だよ。あんたは俺を保釈しようとした。正気か?くだらない判例に振り回されて。正義はどこへ消えた?」と言ったシーンは恐ろしくもあり痛快でもあった。

復讐に燃える知能犯vs.自分の正義に燃える検事みたいな感じで非常に緊迫感があって面白いが、最後だけアッサリ解決してしまってちょっと物足りなかった印象。刑務所に戻ってきたところを、市庁舎に仕掛けたはずのナパームで逆にやられてしまうというラスト。心が荒んでいるかもだが、検事の娘のチェロ発表会で何か起きる展開を期待してしまったな…。でも個人的には部下のサラの爆殺シーンはなかなかキツくて良かった。


以下、セリフメモ。


「司法取引はやめてくれ。奴は凶悪だ」
「負ければ何も残らない。もう取引はした」

「取引を無効にし貴様を破滅させたい。
「気の毒だがエイムスは罪を償うために苦しむべきだ。運命には逆らえない。違うか?」

「味方してくれて嬉しい。司法制度は素晴らしいよ」

「俺は過ちを犯した。なぜあの家へ…。でも神に誓って俺は殺していない。それなのに俺は死ぬ。あんまりだ」

「おそらく安楽死の装置に手が加えられた。本来は無痛だ」

≪CANT FIGHT FATE "運命には逆らえない"≫

「3年か。殺人にしては短いな。司法取引か?」
「警察が証拠収集をミスったせいだ」

「なぜもう女房や娘に会えないと?お前が殺したからだ!俺を覚えてるか?」

「猛毒のテトロドトキシンがお前の体内に吸収された。カリブ海のフグの肝臓から抽出。お前の体は麻痺するが、それ以外の神経機能は全て正常なままだ。つまり、お前は動けないが感覚は生きている。想像を遥かに超えた痛みを味わえ」

「こへねペニスを切断する。まだ先だ」

「わかるよ、絶望的な気分がどういうものか。お前に家族を殺された時のように」

「約25片に切断されていた。手脚も瞼もない。恐ろしい」

「殺人犯と取引するんだろ?条件を言おう。自白してやる」

「お前は殺人犯だろ。条件はなんだ?」
「マットレス。マットレスをくれたら自白してやる」

「レイノルズはまだ生きている1時までに俺にTボーンステーキとiPodを届けろ」

「クライドはスパイか?」
「違う。俺はスパイだが、クライドは"頭脳"だ。彼の専門は"ローインパクト作戦"だった。遠隔操作で殺しを行う方法を考える。彼の才能は傑出していた」

「厳重警備の独房にいるが、彼が刑務所にいるのはそういう作戦だからだ。彼の行動には理由がある」

「司法取引に関与したものは全員狙われる。嫌なら彼の頭に銃弾をぶち込め」

「私もう35歳よ。結婚も出産も望めないかもしれない。あれから10年が経ったわ。あなたと組めて光栄だった。でも全てが"高い有罪率"のためだったら虚しすぎる」

「つまり要約すると─犯人は獄中にいるのにまだ殺人を続けているわけ?」

「全て崩壊させてやる。腐った司法制度をお前もろとも崩壊させる。黙示録の戦いだ」

「驚いた…。刑務所まで掘ったのか?全部 独房に通じてる」
「だから独房に移ったのか…」

「会議室の真下。ナパームだ。5階と6階が焼け落ちる」

「もう殺人者と取引はしない。お前に学んだ」

「言ったろ。取引はしないと。お前の人生はあと25秒だ」
ヒデ

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