StormHunter

未来世紀ブラジルのStormHunterのレビュー・感想・評価

未来世紀ブラジル(1985年製作の映画)
3.9
wowowでちょっと前に鑑賞。
・あらすじ
コンピュータによる国民管理が徹底した仮想国ブラジル。その情報管理局で、ある役人が叩き落としたハエによって、コンピュータ情報の一部が壊れてしまう。そしてその影響は、善良な靴職人をテロリストと誤認逮捕させる結果を生み出すが……。

なかなかに凄い映画でした。
厳しい情報管理社会でのプチエラーから、とんでもない方向へと進んでいく物語が独特で惹き込まれました。

自動化の餌食になりつつある社会への皮肉と、それに抗うタトルの構図が凄く良かったと思います。
作中の諸々の設備が油臭くて使い込まれた感があるんですが、それは機械化、自動化された社会が定着している証拠でもあるだろうし、そこで暮らす人々は何も疑問を抱かずにいる訳です。
その様子が、どこか脆い安定で覆われた強い不安定さを醸し出していて、映画の主導権を握っていたように思います。

社会風刺やメッセージだけじゃなくて、SFとして割と成立しているのも良い作品でした。

これ、公開当時に観るのと今観るのとでは全く違う感想になりそうですよね。
道具は古いながらも社会の構図は現代に近い。しかし一方でSFのストーリーはきちんと組まれているので、時代を超えて楽しめる。歪な名作って感じ。

意味が分からない所もありつつで、好き嫌いは分かれると思いますが、個人的にはかなりの秀作だと思います。
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