半兵衛

毒婦高橋お伝の半兵衛のレビュー・感想・評価

毒婦高橋お伝(1958年製作の映画)
3.3
講談でもお馴染み(今の人は大多数は知らないけど)で、映画化も何回かなされているいわゆる「悪女もの」の代表・高橋お伝を主役にした一作。
と言ってもこの映画のお伝は完全な悪女というわけではなく、警官を誘惑したり、犯罪を犯すときの姿こそビッチだけど、一方では病気の夫を気遣ったり、子供のことを心配したりという一面がある。そうした二面性のある複雑なヒロインを若杉嘉津子が見事に演じ、だからこそラスト、自分に惚れている警官に敢えてつれなくするシーンが生きてくる(この映画での彼女の好演が、翌年の「東海道四谷怪談」に繋がったのかも)。お伝を更なる悪事の道へ引きずり込む悪党を演じる丹波哲郎のダーティな演技も見所。
でもこの映画の最大の魅力は明治初期という、江戸と明治、二つの時代が混ざりあった独特な世界観を見事に表現した美術と小道具。「るろ剣」のような世界観を見事に映像化し、映画にリアリティを持たせている。悪党がいるアジトの、まるでハリウッド映画に出てくるような中華風のセットも印象に残る。
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