こたつむり

アンフェア the answerのこたつむりのレビュー・感想・評価

アンフェア the answer(2011年製作の映画)
2.5
♪ 恋しさとせつなさと心強さと
  いつも感じている あなたへと向かって

「毒を食らわば皿まで」
そんな気持ちで臨みましたが、毒ではなく。
寧ろ、製作者の思いがたっぷりの創作料理でした。

でもねえ。何かが違うんですよねえ。
喩えるならば、自分の思いを伝えたいから調味料で素材を殺した…みたいな。もしくは、形に拘りたいから肉を落として骨だけで料理した…みたいな。

あー。僕は犬ではないので。
せめて骨はスープのダシにして、麺とかチャーシューとか、入れてほしいんですけど。

もしくは、着眼点が面白ければ。
別料理として捉えることも可能。
でも、基本は王道なんですよね。例えば、主人公が犯人と疑われる…という展開。動機づけとしては王道中の王道。これは前作を反省し、原点回帰を目指した結果なのでしょう。

勿論、熱量は多分に感じました。
劇中で猟奇的な思いに囚われた人物が登場しますが、その世界観の構築は見事。部品だけを取り上げればテンプレートの積み重ねとは言え、時間とお金を掛けたのは一目瞭然です(単純に小道具さんの趣味かもしれませんが)。

でも、それは素材を活かして初めて評価される部分。細部に拘っても大筋がポンコ…もとい、雑然としていたら、積み重ねても食べられずに捨てられるのがオチでしょう。

他にも、主人公の勤務先とかも同様ですね。
彼女は警視庁所属なので地方公務員。しかし、何故だか北海道警に移籍していました。交換プログラムもしくは何かの事件を追っての派遣なんですかね。それを感じさせる描写が皆無なので最後まで分かりませんでした。

だから、主人公の立ち位置も微妙。
というか、そもそも篠原涼子さんから熱量を感じません。露悪的に言えば「お仕事だから仕方なく演じている」感が満載。気怠い雰囲気は良かったのですが、単純に“素”が出ただけなのかも(←失礼)。

まあ、そんなわけで。
折れたナイフを頑張って研ぎ澄まして作った作品…なんですけど、ここは割り切って“新品のナイフ”で作ったほうが面白かったと思います。一度折れたら元に戻すのは大変なんですよ…。
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