似太郎

処女の泉の似太郎のレビュー・感想・評価

処女の泉(1960年製作の映画)
4.6
【義憤】

⚔厳格なカソリックの家庭に生まれた一人娘が山賊に強姦されるシーンがショッキング。黒澤明『羅生門』の影響下にある深い森を映し出したきめ細かいカメラワークが幽玄な映像美を作り出す。

🐴👸鬼才・ベルイマンらしく社会正義+信仰への疑いが一層出てきた作品。「神の沈黙三部作」の内の一編。主演のマックス・フォン・シドーによる娘の仇討ちシーンは鬼気迫るものがある。

残酷な寓話という雰囲気も濃厚で中世ヨーロッパ独特の意匠を感じさせる映像がとことん重厚な映画である。この世に神なんていない…ガックシ!😵みたいな監督の諦念と絶望感がヒシヒシ感じ取れるシリアス・ドラマ。

これならまだ『羅生門』の方が救いがあった気がする。いわゆる人間や宗教への懐疑性が強めに出た一作で、ベルイマンらしく厳格な視点が冴え渡っていてドンヨリする。😓
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