ヘイヘイ

灼熱の魂のヘイヘイのレビュー・感想・評価

灼熱の魂(2010年製作の映画)
4.8
incendie (複数形-ies)
[男]
❶ 火事.
❷ (感情の)爆発;動乱,戦乱.

原題の『INCENDIES』は何を指すのか、『灼熱の魂』とは?


今やすっかりSF超大作の監督イメージがついたドゥニ•ヴィルヌーブ監督。

初めて触れたのがボーダーライン。あれに相当にヒリつき、2013年のプリズナーズ以降の作品は全て鑑賞済。監督の名前だけで劇場に観にいっちゃう監督さんのひとりです。

でも、『灼熱の魂』だけは何だか難しそうだな〜、暗くて重そうだな〜っと思っていて、食指が伸びなかったんです。あと仏語しかないのも敷居が高い…


そして、ついに今日みました。
あー、観てよかったなぁと。
もっと早く観てたら、色んな人におすすめできたなぁと。(2010年作)

自分ルールであんまり4点以上は付けないようにしてるんですが、観てない方に薦めたいので4以上つけちゃいます😢

良くも(悪くも)”よくできた”お話だし、観た後もずっーと頭の中に残る作品です。

物語の背景にある宗教対立•内戦のとこが若干難しかったりしますが、主人公の数奇な運命に心を掴まれ、ミステリの部分も気になって気になって画面から目が離せなかったです。

ミステリぽい作品や密度が濃いズッシーンとした作品が見たい方(スリービルボードとか)におすすめです!
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以下は、本筋に触れるので観た方どうぞ



























激動の人生を生きた母の遺言。
中盤のバスのシーンは言葉にならない。

最初から悪人だった人はいない。
愛する子の復讐のために、道を踏み外した母親。
未だ見ぬ母を想い、戦闘に明け暮れ、心を失くした息子。

復讐の渦の中、親子の関係が歪んでゆく。

「私はあなたを愛します」
愛するという赦しによって、怒りの連鎖を断ち切ろうとした主人公。

この「赦し」のテーマは、グラン•トリノやスリービルボードと似てるなぁと。
こういうのがキリスト教的?といえるものなのでしょうか?それとも母親から子への”愛”と捉えるべきなのか。

あとは、出来すぎたお話しにみえるとこもあるなぁと思いつつも、結局はまわりまわった業(といってしまってよいかは自信ない)に関するお話しだよ、と言われれば偶然の連続も納得できます。
ただ、お話しの辻褄を気にさせないレベルで主人公に感情移入して没頭できたので自分はあまりに気になりませんでした。

『ここから先は答えのない問題へと続く、解決不能な問題に直面するようになる。努力しても無駄だという人もいるだろう。想像を絶するほどに複雑で難解な問題を前に、自分を守る術はなくなる。純粋数学へようこそ……”孤独の世界へ”』
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