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荒野の決闘のシネラーのレビュー・感想・評価

荒野の決闘(1946年製作の映画)
3.5
新年初めての映画観賞で本作を初鑑賞。
モノクロの西部劇を自体が
初めてではあったが、
ジョン・フォード監督による
高いドラマ性の西部劇は確かに楽しめた。

牛を運んでいたワイアット・アープと
その弟達はトゥームストーンという
町に立ち寄るも、
そこで留守番をした弟が殺されて
牛も奪われた事から
ワイアットは町の保安官として
町に残る物語となっているが、
淡いロマンスの伴う西部劇は大いに楽しめた。
実在した保安官ワイアット・アープの
OK牧師の決闘をモデルとした
内容になっているものの、
登場人物の設定や顛末を大胆に改変した
フィクションとなっている。
単純な復讐劇になるかと思いきや
ワイアットの保安官としての
日々がじっくり描かれており、
賭博の元締めドク・ホリデイとの出会い
やドクを訪ねて来たクレメンタイン
とのロマンスは印象的だった。
荒野の町並みで椅子にもたれ掛かる
ワイアットは絵面として格好良く、
それでいて銃を抜く場面では瞬時に
緊張感が漂うのも魅力的だった。
最終的にワイアット側が勝利する
と分かっていても、
終盤にかけては無情にも喪う犠牲が
ある事に現実味があり、
銃撃戦自体も勝負が数秒間で決するのは
リアルに感じられる部分だった。

不満点としては、
最終的にOK牧師の決闘で
ワイアット達と対峙するクラントン一家
に関しての描写が薄く感じられた。
又、ワイアットの兄弟達や
メインどころで活躍する以外の
町の登場人物の描写も弱く、
名前も含めて誰なのか理解しづらかった。
西部劇らしい銃撃場面は限られている上に、
ワイアットの目的である敵討ちも
そこまで執着した様子も無いまま
保安官として過ごすのに違和感があった。

哀愁ある雰囲気と登場人物達の
複雑に絡み合った人間模様が魅力的で、
西部劇の見事な古典だった。
アメリカ西部開拓時代の
歴史や雰囲気も窺えるのが、
西部劇の一つの面白味でもあると思った。
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