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ノスフェラトゥのTSのレビュー・感想・評価

ノスフェラトゥ(1978年製作の映画)
2.9
【静かに襲いかかる著名な怪物】
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監督:ヴェルナー・ヘルツォーク
製作国:西ドイツ・フランス
ジャンル:ホラー
収録時間:103分
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しまった。これも見る順番を間違えましたね。今作は1922年の『吸血鬼 ノスフェラトゥ』のリメイク作ということです。
ノスフェラトゥというと僕は遊戯王の「ノスフェラトゥ リッチー」を思い出します(笑)この代の遊戯王好きだった方は知っておられるかもしれませんが、、
いわゆる「不死者」という意味です。つまるところ今作ではドラキュラのことを指すのですが、ドラキュラは実は固有名詞のようです。モデルは世界史でも有名なワラキア公のヴラド3世。彼のフルネームに「ドラキュラ」という名前があるそうです。そして彼はルーマニアのシギショアラを治めていたので、シギショアラはドラキュラの街とも称されます。
このドラキュラを代表とした吸血鬼のことをヴァンパイアというのですが、1922年のものに関しては権利の問題云々でタイトルにドラキュラを使うことが出来ず、ノスフェラトゥを用いた模様です。

中世のドイツにおいて、ドラキュラ伯爵から新邸宅を買おうとしていたジョナサンは、4週間もかけてドラキュラ伯爵の邸宅に到着する。その旅路において、ドラキュラ伯爵の邸宅にいったものは帰ってこれないという噂を聞いていたのだが。。

現在のハロウィンをはじめ、世界各国で吸血鬼のイメージ化をされているドラキュラ。フランケンシュタインや狼男と並ぶ世界の著名怪物の一つらしいですが、原点がプラムストーカーという小説家の小説だということには少々驚きました。

血を吸われる。吸われると吸血鬼になってしまう。十字架を見せるのが弱点。このあたりの知識は特に意識することなく身についていて、この映画を見る中でもそのステレオタイプは健在していました。

映画の中身はというと、最初おどろおどろしいミイラのような死骸を淡々と映す映像から始まり、不気味な音楽が流れた後本編がスタートします。ホラーの部類ですが、音楽は少なくかなり静寂した雰囲気です。また、驚かせるようなホラーではないので、現代の僕たちからすると怖いかどうかと言われると微妙なところ。
しかし、ドラキュラ伯爵を演じるクラウス・キンスキーの演技は大したものでした。異様な程の白い顔、鋭い爪。何かを欲するような不気味な目をして、静かに襲いかかるその演技は素晴らしいものでした。

ということで、面白さも加味すると総合的には普通でしたが、吸血鬼のステレオタイプ化を促進するものとしては、大変意義のある作品であったと思われます。

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