ペイン

エロス+虐殺のペインのレビュー・感想・評価

エロス+虐殺(1970年製作の映画)
4.7
同監督の美しいメロドラマ「秋津温泉」とは180度毛色の違うアヴァンギャルドな作品だが圧倒的完成度。

かなり好き嫌い別れるとは思いますが、少なくとも私は3時間半一瞬たりとも退屈しない至福の時を過ごした。

実際に起きた日蔭茶屋事件、甘粕事件を題材にしており、それらの知識を入れておいたほうがすんなり見れるが初見時はなくてもいいと思う。

ただ、現代の学生パートと大正時代のパートが交互に描かれ時間軸も行ったりきたりするので集中力が必要。

全体的に白と黒それぞれを基調に魅せる美しい映像表現の数々に圧倒される。学生パートは若松映画っぽくて、終始イカしたロックが流れていて雰囲気がドツボ。また大正時代パートの終盤の3人の一糸乱れぬ愛憎劇の力強い描写も圧巻。畳の部屋をくるくる回りながら撮るあのショットは一体どうやって撮ったのだろうか…本当に度肝を抜かれっぱなしである。

フランスにはゴダールやジャック・リヴェトが、日本には大島渚や吉田喜重がいる。本当に日本人として誇らしい。

「秋津温泉」の時よりは少しふっくらした感じだが、ヒロインの岡田茉莉子は相変わらず素敵だ。
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