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赤坂の姉妹 夜の肌のトシオ88のレビュー・感想・評価

赤坂の姉妹 夜の肌(1960年製作の映画)
3.7
川島雄三監督作品。サムネイルだけ見ると仲の良い姉妹の物語とも思えるが、全然そんなことはなくて、本音のぶつかり合いに男女の生々しい関係が被さり、それなりに重い作品だった。
でもそこは川島監督のセンス、例えば赤坂、そして東京をナレーションで説明してくれる俳優加藤武(金田一作品で「よし、わかった!」の彼😆)そして名優伊藤雄之助のまたしてもの怪演が、今でも通用するどこか洒脱な映画に仕上げてくれる。

長女夏生に淡島千景、次女秋江に新珠三千代、そして末妹冬子に川口知子。男優は伊藤雄之助、田崎潤、三橋達也、そしてフランキー堺の東宝定番メンズ。そして学生運動の一学生にちょい役の露口茂なども出演。
新珠三千代が兎に角美しい😍。彼女の役柄はダメンズに引っ掛かり安く、今回はブラックなフランキー堺にいいように使われてしまう。その新珠三千代と淡島千景の姉妹喧嘩も結構強烈で、リアルなバトル😾😨。
そして末妹の川口知子。硬い演技だけど印象深く、でも、あまり観ない方と思っていたら本作の数年後に亡くなっていたのですね😢。

そして今回は赤坂という街も主役。昭和35年の赤阪の当時の風俗、景色が堪能できる。
東京オリンピックの5年前。東京タワー🗼しか高層建物のない東京。赤坂は数十軒の芸者料亭が建ち並ぶ色街、且つ政治の街。一ツ木通りを芸者の人力車が行き交う光景や、溜池山王に自動車ディーラーが林立、そして弁慶橋の上にはまだ首都高がなく、赤坂に近い米国大使館の周囲が、まるで田舎町のような風景など、約60年前の東京の景色がカラーで甦る映像は歴史的な資料とも思える😃。

しかし伊藤雄之助演じる保守党代議士。色と欲の政治家を見事に演じていて小気味いい。まさに怪俳優です😆。
最後は雪の舞う赤坂で少し苦い終幕。60年前であっても男女の関係、そしてお金の立ち位置はあまり変わっていないと。
映画でありながら舞台劇のような濃密な芝居を堪能できる。川島監督が早逝したのは本当に悔やまれます。😢🎬
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