若きミロシェの悩み
以下、ネタバレ気味です
ホームカミング時のトムホピーターにそつくりの主人公ミロシェ。まだ幼い子どものままのようなface&body。とっても親しみやすい。新米鉄道員でもあるミロシェの悩みは仕事のことよりも好きな女の子とイチャコラできるか否か。この童貞君が、自分は早漏君でもあると知るのはいつか。好きな女の子とコトを成すことができなければ絶望のきわみ。童貞君でもあり早漏君でもある彼は、very素直だから、周囲のオトナたちに早漏君であることを打ち明けちゃうの(5人くらいには打ち明けてたと思う)。打ち明けられたオトナはそれを茶化さない。そしてオトナからアドバイスを受けたら彼は愚直に実行。さあ、年上の女性による手ほどきを受けることができるのかしら。そして彼は無事にコトを成すことができるのかしら。というのは、あるひとつの面に過ぎない。
そこに併走するのはWWⅡ戦禍のチェコスロヴァキア。チェコスロヴァキアの一部はドイツの保護領になっていたとのこと。そして、ドイツ敗戦が濃厚となるなかでのレジスタンス活動。チェコ人としての気概。さり気なくて深い。このイジー・メンツェル監督は、クストリッツァとは違うかたちで生き物を登場させるけれど、根底にあるものは近しい気がする。今作では、駅長の妻がアヒルの首を撫でる場面が印象的。
「スイート・スイート・ヴィレッジ」でも愛すべき村人たちがたくさん登場したけれど、今作でもバラエティに富んだ方々が登場する。ユーモアの隣には悲劇が。高尚の隣には世俗が、当たり前のこととして同居する。
・・・とここまで書いたけど、この映画はわかりやすく進むのではなくて、いろんな出来事が「点描」として提示されるのみ。点と点の間は、観ている者が想像していく。始まりの帽子と終わりの帽子。
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購入したDVDには深い考察(解説)が添付されていて、ほほぅ、そういうことだったのか!がギュッとつまってる。自分では気づかないことがいっぱい書いてあった。上記レビュの「点描」という言葉は、そのリーフレットに出てきた言葉です。