Kirian

ラスト サムライのKirianのレビュー・感想・評価

ラスト サムライ(2003年製作の映画)
3.5
「ラストサムライ」は、西洋から見た日本の武士道を描いた作品として、多くの視聴者に感動を与えました。特に、最終決戦での政府軍がオールグレンに頭を下げるシーンや、天皇が米国との協定を却下するシーンでは、日本の武士道が深く表現されていると感じられます。また、オールグレンの視点から描かれる日本人の勤勉さや性別に関する価値観の違いは、日本文化への敬意と理解を示しているように思います。

しかしながら、この映画には典型的な日本のステレオタイプが色濃く描かれており、日本人視点から見ると違和感を覚える部分も少なくありません。特に、配役については、西洋的な視点から見た「典型的な日本人」としての要素が強調され過ぎていると感じることができます。帝国軍の兵士を見るだけでも、アメリカ人にとっての日本人像がどのように形成されているかが伺えます。さらに、日本の文化に対する過剰な理解や誤解が散見されることも、文化的な感受性を持つ日本人にとっては少し不快に感じるかもしれません。

このように「ラストサムライ」は、一方で世界に日本の美しい伝統と精神を伝える作品でありながら、他方で西洋中心の視点から描かれたステレオタイプや誤解を含んでいるとも言えます。これは国際的な映画制作の難しさを示しているとも言えるでしょう。
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