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マイティ・ソーのnetfilmsのレビュー・感想・評価

マイティ・ソー(2011年製作の映画)
3.7
 ニューメキシコ州、プエンテ・アンティグオ、天文物理学者のジェーン・フォスター(ナタリー・ポートマン)とアシスタントのダーシー(カット・デニングス)、指導者のエリック・セルヴィグ博士(ステラン・スカルスガルド)は深夜、オーロラの調査に州境まで来ていた。しぶとく粘るジェーンとは対照的に、ダーシーやセルウィグ博士は観察に懐疑的だったが、突如天候が一変し車は回転する。錐揉み式に回転した車体はやがて人の影を捉えるが次の瞬間ぶつかり、外には男(クリス・ヘムズワース)が気絶し倒れていた。西暦965年北欧、オーディン(アンソニー・ホプキンス)率いるアスガルドの軍団は、ラウフェイ(コルム・フィオール)率いるヨトゥンヘイムのフロスト・ジャイアントの侵略からミッドガルド(地球)を守るために戦っていた。戦闘の末、アスガルドの戦士たちはフロスト・ジャイアントを破り、そのパワーの源である『箱』を押収した。オーディンの息子ソー(クリス・ヘムズワース)は、選ばれた者しか持つことのできない伝説の武器「ムジョルニア」を手に、最強の戦士としてその力を誇っていた。しかしその傲慢さから、氷の巨人の世界へ身勝手に攻め込み、アスガルドを戦乱の危機に陥れる。その行為に怒ったオーディンはソーの力とムジョルニアを奪い、地球へと追放した。

 「マーベル・コミック」のヒーローコミック『マイティ・ソー』シリーズの記念すべき第一弾。9つの国を統治するオーディンは長らくアスガルドのカリスマとして知られ、後継者には2人の兄弟である兄ソーか弟のロキ(トム・ヒドルストン)のどちらかを指名しようとしている。幼馴染のシフ(ジェイミー・アレクサンダー)、「ウォリアーズ・スリー」のヴォルスタッグ(レイ・スティーヴンソン)、ホーガン(浅野忠信)、ファンドラル(ジョシュア・ダラス)たちは黙ってことの次第を見つめるが、巨大な力を手にした兄の傲慢さが父親の逆鱗に触れる。西暦965年から2011年にタイムスリップを遂げる北欧の勇者の姿こそが今作の核となる。時空を超えた逢瀬でソーは運命の女ジェーンと出会い、恋に落ちる。それと共に幼い頃から切磋琢磨した兄弟に告げられた禁断の秘密が、兄と弟の愛情を切り裂いて行く。S.H.I.E.L.D.のエージェントのフィル・コールソン(クラーク・グレッグ)など現代にも曰く付きの人物が出て来るものの、ケネス・ブラナーは専ら北欧神話上の家族のドラマに心血を注ぐ。ソーが現代で引き抜けなかった「ムジョルニア」、まるで西部劇のようなニューメキシコ州でのデストロイヤーとの活劇、オーディンの目からこぼれ落ちた一粒の涙。北欧神話をベースにアメコミらしい勧善懲悪の物語は幾分駆け足に見えるものの、ソーの心の成長を奇を衒わずに見つめている。
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