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豚飼い王子のBONのレビュー・感想・評価

豚飼い王子(1958年製作の映画)
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子供に近づくために、未来の子どもたちが夢と希望を持てるようにアニメを製作し続け、チェコアニメの三大巨匠の1人とされているヘルミーナ・ティールロヴァー。映像プロデューサーだった夫の手伝いでアニメ製作に入り、主婦からチェコで初めての人形アニメを生み出した。

彼女の作風は生活に馴染み深い布きれやフェルト、毛糸、ワッペン、フリル、リボン、ラメ、ガラス玉、ハンカチなど…世界中の女の子の胸をときめかせてきた。

本作は、ファンシーで不思議の世界に迷い込むというティールロヴァーの真髄を突いた初期作となっており、人形たちが身に纏うフリルで作られた衣装が恐ろしく可愛い。

アンデルセンの童話『豚飼い王子と100回のキス』をアニメーション化し、豚飼いに変装した王子が傲慢な王女に求婚するために近づく物語。身分違いの求婚だと身を引き下がれば良いものの、求婚を突っぱねられた貧しい王子の復讐が始まる…。王女が一体何をしたというんだろう。おぞましい。

結局おもちゃにつられて豚飼いと100回ものキスをしているところを王に目撃され、追放され、王子にも見放される王女。バラ1本の美しさ、本質を見抜けなかったかわいそうな王女。いと憐れな物語だった。
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