磯野マグロ

フクちゃんの奇襲の磯野マグロのレビュー・感想・評価

フクちゃんの奇襲(1942年製作の映画)
3.3
【アニメ的ではない観点から】105

アニメーションとして、人物がずっとぬるぬるとした動きで動き続けたり、大きな背景画をカメラを移動させながら撮影したりと、へえこんなことやるんだ的な技術がなかなかおもしろい。
しかしそれより、冒頭と、泥棒を追いかけるシーンの凝った背景描写が個人的にツボだった。冒頭には戦時とは思えないような整然とした街並みが出てきて(ドラえもんの戦後郊外的街並み描写に近い感じ)、舞台は郊外ではないはずなので、都心部には昔からこんな感じで住宅街があったのかとちょっと驚く。
一方中盤のハイライト、泥棒を追いかけて町を走るフクちゃん。やがて一膳飯やの角を右に曲がると、その先には大きな谷が広がりバラックの並んだいわゆる貧民窟が見える。
ダイナミックな景色の変化が社会情勢を写していて、実写よりもアニメの方が絵的にわかりやすいこともあり、なるほど、とグッと来た。
磯野マグロ

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