NaoMaru

パウダーのNaoMaruのレビュー・感想・評価

パウダー(1995年製作の映画)
4.0
ヴィクター・サルヴァ監督作品

メラニン色素のない赤ん坊が生まれ、青年になるまで祖父の家で育てられた。祖父は謎の死を遂げて、保安官と心理学者が訪ねてくる。青年はパウダー(おしろい)と名乗り、体毛がなく全身が白塗りのよう。彼は家中の本を読んで記憶する天才とわかる。施設から高校に通うと、サイキックな力も発揮した。

「人は万物の一部で、すべてが繋がっている」とパウダー。超能力は未知の世界を開く。鹿狩りに出くわした彼は鹿の断末魔を感受し、狩猟者の腕を通してそれを伝えるという仰天劇。また、臨終にある保安官の妻からテレパシーを感知し、不仲息子の真意を保安官(父)に伝えると、息子が訪れ和解するという奇蹟劇。


【ネタバレ含む】
孤独な青年、パウダーいやジェレミー。彼は神の子なのか。秀でた能力は怖れられ少数にしか理解されず、天上へと憧れをいだく。ラストは雷に打たれて自然に還る。消えた瞬間、放射線状に光の輪が放たれ、それに触れた人たちは歓喜の笑みを浮かべる。胸が押しつぶされそうになり、やがて涙があふれた。

【映画の超常現象と重なる現実】
ラスト前、パウダーは保安官と緑の樹を見ながら、「あなたの妻の霊はすぐそばにいるよ、感じるんだ」と言う。本作を最初に観たころ、悩みをよく聞いてくれた看護師の叔母が病気で亡くなり、パウダーの台詞が突き刺さった。目には見えないけど、たしかに存在を感じた。こころの中は科学では語れない。
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