有利

虹色ほたる 〜永遠の夏休み〜の有利のネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

ダム湖に沈む村の1977年の世界にタイムスリップ。
と思わせながら、実は生死を分け合う「賽の河原」をダム湖に沈む村を借りた舞台にしている。

ケンゾーも吉澤さんも夫婦でこの世界に迷い込んでいる。だから、現世に戻ったユウタとケンゾーの歳が離れてしまっていても矛盾はなくなる。

ホタルの沼が現世との交通路。もしくは引越しでこの村を出られた人だけが現世に戻れる。

失明しているサエコとその父が毎年ホタルラリーに来ているのも、亡くなった兄の命日と推察できる。

劇画調になるあの場面は、黄泉の国から逃げ出す坂道なのだろう。途中、亡くなった兄との惜別が白い影として表現される。
劇画調の顔が現世の顔で、その他の場面は仮の姿とも取れる。

タイムリープとタイムワープをうまく使い分け、タイムワープした場面(事故の当日、サエコの病室)では、そこから戻ると記憶がなくなる設定なのだろう。
その翌朝からサエコの部屋に兄との絵が表示されるようになる。

サエコがホタル沼で緑の髪留めを外したのも、あれは兄に探して欲しかった目印だから。

冒頭の親子で甲虫取りに来ているシーンは99%ユウタとその父であるが、ケンゾーとその子であるとも取れないではない。帽子がそれを暗示している。そもそも甲虫取りがうまいのはケンゾーである。

前半のホタル沼に降りる時に滑ってサエコを支えるユウタ。ホタルラリーで坂道を滑りそうになるサエコを支えるユウタ。

アニメで全編を通して伏線と回収が幾重にも巡らさられている名作。


※ネタバレについては記述者の所感、推察も含みます。
(原作も既読。DVDの特別映像も視聴済)
有利

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