ゆみモン

銀嶺の果てのゆみモンのネタバレレビュー・内容・結末

銀嶺の果て(1947年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

📺で『生きる』を観て、志村喬の映画を他に見たくなったので。

1947年
黒澤明・谷口千吉 共同脚本
谷口千吉監督デビュー作

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野尻(志村喬)と江島(三船敏郎)と高杉(小杉義男)の三人は、銀行強盗をして北アルプスに逃げ込んだ。いったん鹿湯温泉に逃れた三人だったが、スキー客に気づかれたためさらに山奥へ。しかし自分たちを追ってくる犬に向けて発砲したため、高杉は雪崩に飲み込まれてしまう。
野尻と江島は小さな山小屋にたどり着いた。小屋の老人と娘、そして登山家・本田(河野秋武)の三人は、二人を温かく迎え入れる。野尻は徐々に心を開き始めるが、江島は本田に道案内を強要し、雪の渓谷をさらに進んでいくのだった。
本田は滑落した二人を救うために負傷してしまう。江島は足手まといになった本田を置き去りにし、本田を見捨てられない野尻から金を奪い、一人で行こうとするが、結局は死んでしまう。
野尻は、負傷した本田を背負って、小屋へ戻るのだった。
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戦後わずか2年とは思えないダイナミックなロケーションに圧倒された。
89分という短めの作品だが、スリリングなシーンも多く、無駄のない展開だ。
トップクレジットは三船敏郎だったと思うが、主役は志村喬だ。真の悪人になり切れない優しさの滲み出る表情がいい。
三船敏郎の役は、完全な悪人だ。しかしカッコいい。この頃の三船は、まだ役者をやりたくなかったらしいが、このカッコ良さでは周りがほっておかなかっただろう。
印象に残ったセリフ。
「騒ぐこたぁない。お山が悪人を帰すわけねぇ。」 山を知り尽くした山小屋の隠居の言葉だ。