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ムアラフ 改心のhorryのレビュー・感想・評価

ムアラフ 改心(2007年製作の映画)
4.0
『細い目』『タレンタイム』に続き『ムアラフ』を見ることができた。
宗教の話がもっとも前面に出ていたと思う。「どんな政治でも、武器を持った人は神の名を唱える」という台詞にあったように、どれか1つの宗教だけが特別に悪いわけでも、問題を抱えているのでなく、宗教のもつ二面性とでもいえる面が、ヤスミン・アフマドらしい視点で描かれていた。

本作では、女性への暴力がかなり露骨に描かれているのだが、なかでも特に印象的だったのが、主人公と折り合いの悪い職場の女性が、主人公を守るために命を落としかねない目にあい、苦しい立場に置かれている主人公をそっと支援する、というエピソードだった。
マレー人と華人、思想の違い、感覚のズレによって衝突が起こっているのに、なぜ、彼女は主人公を守ろうとしたのか。

母に冷たくあたる男性教師が、主人公の言葉で「改心(ムアラフ)」したことと、考えが異なる人に救いの手を差し伸べること。
上映後のレクチャーで、山本博之さんが、「改宗」ではなく「改心」というタイトルがつけられているのは、とても秀逸なのだとおっしゃっていたが、なるほど、そのとおりだな、と納得できた。
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