ぼるびっと

ブロークバック・マウンテンのぼるびっとのレビュー・感想・評価

4.6
ブロークバックマウンテンの大自然の中で、仕事を共にする内に、若いカウボーイ二人が友情から愛に踏み込んでしまうのですが、ゲイとわかれば社会的にも、果ては命まで危険にさらされる当時のアメリカで、二人が心のままに愛し合える自由が、結局は20年間の交流期間において、年に数回のブロークバックマウンテンでの逢瀬だけだったというのが切なくて堪らなくなりました。強いアメリカ男児の象徴的存在でもあるカウボーイに男性同士の愛をぶつけてきた原作者も凄いですし、これを見事な描写と柔らかで爽やかな音楽、素晴らしい俳優陣で映画にしたアン・リー監督も凄い!カウボーイが惹かれあいながらも、互いの性格の違いやしがらみから、奥さんや子供までもうけて、夢と真実を傷つけてる様が痛々しいし、奥さんたちの葛藤も痛々しいところは、観ていて不快に思うかたもいるかもしれませんね。今は亡きヒース・レジャーの、不貞腐れた犬のような、あまりに不器用な生き方しかできないイニス役は、絶賛されただけあって素晴らしかったですし、自分の心に忠実な人懐こいジャックのひた向きさや、イニスへの想いも演じきったジェイクギレンホールも良かったです。
あまりに荒々しいぶつかり稽古じみたサービスシーンがあるので万人に気軽にオススメできないのが残念な傑作だと思います。