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汽車はふたたび故郷へのすえのレビュー・感想・評価

汽車はふたたび故郷へ(2010年製作の映画)
4.2
記録

授業の一環で鑑賞、梶山祐治(筑波大学)先生の解説付き。なぜこれ程酷評なのだろうか、傑作とは呼べないにしても佳作ではあると思うのだが…今作における文化的コンテクストを読めれば、面白さは倍増する。おそらく、半自伝的作品であると同時に寓話的であるから、深く潜ることができないためにこういった評価が下されるのではないかと思う。

決して大袈裟にはならず、ゆったり滑らかにうごくキャメラが、映像になんとも言えない独特のリズムを生み出している。それに加え、どこかで奏でられる音楽もその流れに乗り、いつの間にか我々はその心地よい流れの中に身を任せている。

初期短編、『珍しい花の歌』からの自己引用がみられる。そこから想起されるのはブルドーザー展覧会。1974年9月15日、モスクワの非公式芸術の画家たちな当局の許可を得ずに自主的に開いた野外展覧会。政府は大量の警官を投入し、ブルドーザーと散水車で展覧会場を破壊したことからそう呼ばれる。

冒頭の映画公開の議論について。映画委員会ゴスキノ。映画製作は脚本執筆から配給に至るまでそれによりすべて管理されていた。完成したのちも、劇場公開(規模)は委員会によって判断された。その検閲に蔓延る欺瞞をも描く。

今作でポスターとして登場するウラジーミル・マヤコフスキーというアヴァンギャルド詩人。今作において引かれるのは十月革命を称えた叙事詩「十月」中の一節。→共産主義の賛辞、ロシア大使に対する祖国への忠誠心として。

水の精、水という境界が曖昧な物質へと主人公は消えてゆく。資本主義と社会主義で揺らぐは、そういった区別のない水の世界へと姿を消す。

グルジアでは国家からの制約、フランスではプロデューサーからの制約。映画は思った通りに作れない。

ピエール・エテックスが出てるのに驚き、フランスのプロデューサー役で出てるのがなんか良い。

橋や列車という越境の表象、やはり映画は列車と切り離せない。

我ながら文章に纏まりがなさすぎる…
兎に角、背景のコンテクストはとても興味深かったし、別に悪い映画ではないと思う。映画文化的な観点からの解説を聞いたが、やはり映像、映画そのものが持つリズムが心地よかったことが印象的。難しいことを考えるのは苦手🤮

2024,89本目 4/12 vimeo
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