半兵衛

戦場を駆ける男/戦場を駈ける男の半兵衛のレビュー・感想・評価

4.1
プロパガンダ映画にも関わらずこの面白さは反則だろ。

内容はいわゆる敵地に潜入して敵の重要な拠点をを爆破する特殊任務ものだが、冒頭のゲリラがナチスの基地を爆破するシーンから緊迫感があってワクワクさせられる。そしてその期待を裏切らず、目的地のポーランド国境にやってきたエロール・フリン率いる主人公たちの部隊とそれを阻止せんとするナチスとの戦いが全編スリリングに描かれる。

敵側のナチス幹部が単なる悪役でなく頭が切れる奴なので、主人公と敵の高度な駆け引きが終始展開されて観客のハートをガッチリつかむことに成功している。そのうえで主人公が敵から逃げるためにゲッペルス専用の列車に乗ったりするといったジョークのあるシーンを入れたりといったユーモアも忘れないサービス精神には脱帽。また敵地の破壊の他に「いかにイギリスまで脱出するか?」という目的をいれることで物語の流れを単調にさせないところも上手い。

登場人物たちのキャラ付けもはっきりとしていて、戦争シーンの合間に見せるわずかな描写でどういう人間かを把握させる。それでいて冒頭いきなり機長が死んでしまったりと味方側も誰が倒れるか予測がつかないところも作品に緊張感をもたらし、より作品をスリリングにさせる。特に途中死んでしまうキャラクターのあっけない描写は壮絶。

また数々のアクションシーンも見事で、冒頭の主人公たち部隊が乗る飛行機とナチスドイツ軍の戦闘シーンの迫力足るや80年後の今見ても遜色ないレベル。また後半のカーチェイスシーンも最高。

ラストはいかにも戦意高揚らしい展開で少し醒めるが、それでも満足感は得られる。
半兵衛

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