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プラダを着た悪魔のhigasaのネタバレレビュー・内容・結末

プラダを着た悪魔(2006年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

「失うこと」を選んだ人と「失わないこと」を選んだ人の物語。平たく言ってしまうとワークライフバランスの話。平たすぎて言いたくないですけど。
時間は有限だから、何かを得れば何かを失う。また、チャンスのパイも有限。誰かが得れば誰かが失う。
そしてアンディは、「失わないこと」を選んだ。「失うこと」の本質を理解し、自分にとって重要なことを決断できたから。
一方、編集長ミランダは「失うこと」を肯定し、進んできた人間。それもまた、自分で決談した結果。どちらが正しいという話ではない。
ミランダからの着信を無視し、「失わないこと」を選んで携帯を水に投げ込んだシーン。車内での会話も相まって。象徴的でとてもカッコ良いシーンだった。

そしてラスト、街中でアンディを見つけたミランダは微笑んだ。
「失わなこと」もまた、彼女の決断だと理解し、認めているから。
「今まで一番失望させたアシスタント」。序盤のセリフの返しになっているのがベタながらおしゃれでいいですね。

また、健康な肉体には健康な精神が宿るというが、服もそれに近い性質を持っていることを表現した映画だった。
服やアクセサリーはその人のアイデンティティに繋がっているとは作中のセリフだが、身につけるもの一つで相手に与える印象や自分の意識も変わってくる。
今作の場合は職場がファッション誌の現場だったため、アンディのファッションと「失うこと」「失わなこと」が比例して描かれていた。
「頑張っていない、甘ったれるな」と指摘されたアンディが、美しくなるにつれて、「失う」方向にいったのが印象的だった。

生き方に正解はない。
プライベートを犠牲にしてでも自分の成したい仕事をするのも、自分のペースでいられる仕事をするのも、どちらも正解だ。
重要なのは決断すること。自分にとっての正解を判断すること。人に認められる仕事をすること。コミカルでベタな描写の中で、明快なメッセージを表現した前向きな一作。

エピソードを繋げていくタイプの映画で、若干退屈なエピソードもあったので-0.5。これは個人の好みの問題なので作品の質の話ではないです。

PS
序盤中盤終盤すべてに渡って、アン・ハサウェイが死ぬ程美しいです。
とんでもないです。
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