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忠臣蔵 櫻花の巻菊花の巻のmitakosamaのレビュー・感想・評価

忠臣蔵 櫻花の巻菊花の巻(1959年製作の映画)
3.4
東映youtubeより。今年もこの季節がやってきました。

浅野内匠頭が錦之介。大石内蔵助が知恵蔵。忠臣蔵といえば群雄劇だが、今作に限っていえばこの2大スターをピックアップした内容に感じるね。東映のオールスター時代劇だが、他がかなり脇役に回された感がある。
因みに、堀部安兵衛が大友柳太郎。 岡島八十右衛門が東千代之介。岡野金右衛門が大川橋蔵。脇坂淡路守が市川右太衛門。不破数右衛門が山形勲。
そして意外にも吉良上野介は進藤英太郎だ。憎たらしい演技は流石だが、吉良にしては随分膨よかだ。

まず序盤の見せ場、錦之介の内匠頭。なんと松の廊下から切腹までたっぷり1時間掛ける。それ故に間をじっくり取った芝居が多い。切腹のシーンなんて3分くらい沈黙があったぞ。
途中畳の張り替えのシーンはあるが、堀部安兵衛はあまり目立って活躍しない印象。

そして満を持して知恵蔵内蔵助が登場!もう知恵蔵の演技が濃すぎて、喜久蔵のモノマネよりモノマネっぽいよ(笑)
月形龍之介が演じる橋本平左衛門が病を理由に仇討ちに参加できず自害。この平左衛門の娘に美空ひばり。このキャラクターは今作のオリジナルっぽいな。
脇坂淡路守に赤穂城を明け渡す所で前半が終了。ここで柱の落書きを見て、幼少時の内匠頭が内蔵助の助けを借りて描いたものと思い出話をして涙ぐむ。ここもオリジナルエピソードっぽいが、知恵蔵と歌右衛門の絡みが濃厚だ。

後半はまず芸者遊びに興じる内蔵助から。ドスを効かせないおちゃらけ酔っ払い演技の知恵蔵が可愛い。

後半メインになるのが吉良邸の絵図面を手に入れる場面。本来なら岡野金右衛門が大工の娘の恋愛感情を利用して入手するのだが、今作ではひばり演じる娘がスパイとして吉良邸に入り込み金右衛門に渡すという構成に変わっている。
美空ひばりを大いに活かしたいのもあったのだろうが、本来の恋の絵図面取のシーンって恋人を騙すようであんまり良いシーンに思えないもんな。

オールスター映画ではあるが、錦之介と知恵蔵しか見せ場がないちょっと勿体ない映画だと思う。
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