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妻よ薔薇のやうにのkazu1961のレビュー・感想・評価

妻よ薔薇のやうに(1935年製作の映画)
4.2
▪️JPTitle :「妻よ薔薇のやうに」
ORTitle: ※※※
▪️First Release Year : 1935
▪️JP Release Date : 1935/08/15
▪️Production Country : 日本
🏆Main Awards : ※※※
▪️Appreciation Record : 2022-222 再鑑賞
🕰Running Time : 74分
▪️Director : 成瀬巳喜男
▪️Writer : 成瀬巳喜男
▪️MusicD : 伊藤昇
▪️Cast : 千葉早智子、丸山定夫、英百合子、伊藤智子、堀越節子、細川ちか子、大川平八郎
▪️Review
🖋この時代の作品を観るといつも思います。巨匠たちはこの時代の日本の原風景や日本人の価値観、考え方などを見事に描いています。本作においても昭和10年という時代の古き東京や長野の原風景、戦争前で“インスピレーション”などの英語が多く使われていたり、思ったより東京ではオシャレな洋装であったり、長野では砂金取りが行われたり、そして本作にあるように妾と妻とその子達の関係・感情など、後世に伝え残すべきことが多くある作品だと思います。

🖋本作、中野実が新生新派のために書いた『二人妻』を映画化した成瀬巳喜男監督の初期の名作です。後に『浮雲』、『めし』、『驟雨』などでも描かれる“男女の機微”が本作でも描かれています。アメリカ合衆国で初めて商業的に公開された日本映画として話題になりました。砂金探しに出たまま家を捨てた男と女流歌人である妻、そして正式な妻ではないものの男に献身的な愛を捧げる芸者上がりの妾の三角関係を、歌人との子である若い娘の目を通してその感情の機微、悲喜こもごもに見事に描いています。“お母さんの負けだわ”、この台詞ぎとても印象的ですね。

🖋才女で冷淡な振る舞いをするが実は弱い妻、優しく献身的ではあるが芯の強い妾、この対比がとても素晴らしく結果的には献身的な妾と家族を選ぶその男の心の揺れも繊細かつ緻密に演出しています。しかもそれを娘役を演じる千葉早智子の目線で描いているところがとても秀逸です。(千葉早智子、この後成瀬夫人となり、その後離婚して映画界から去りました)

🖋物語は。。。
丸の内に勤めるOLの君子は、母で歌人の悦子と二人暮らし。父は砂金探しに出たまま10年以上も戻っておらず、その土地で芸者上がりの女と同棲し子供までもうけていました。母の兄から父を連れ戻してほしいと頼まれた君子は、芸者上がりのお雪に会うため信州へ。意外なことに、お雪は子供たちと父を支える立派な母親でした。君子は砂金探しを続ける父に帰ってほしいと頼むのでしたが。。。

▪️Overview (Wikipediaより)
『妻よ薔薇のやうに』は、1935年に日本で公開された日本映画。トーキー。成瀬巳喜男監督による、新生新派のために執筆された中野実の戯曲『二人妻』の映画化作品。第12回(1935年度)キネマ旬報ベスト・テン日本映画ベスト・テン第1位。
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