似太郎

ショックプルーフの似太郎のレビュー・感想・評価

ショックプルーフ(1949年製作の映画)
4.0
『裸のジャングル』でお馴染み、コーネル・ワイルド主演のメロドラマ風サスペンス。監督がダグラス・サークで脚本はサミュエル・フラーという異色の組み合わせ。

サーク本人もこの映画については「はっきり言って失敗作」「私の映画ではない」などと発言している。(『サーク・オン・サーク』より引用)
ラストで強引にご都合主義的ハッピーエンドにさせた責任は、やはり脚本をリライトしたサミュエル・フラーにある。

要するにサーク✖️フラーのコンビでは非常に噛み合わせが悪かったのだよ。思い切って脚本を書いたフラーに直接監督させればもっとアブノーマルな不条理映画になってたはずなのに!😓

中盤までは男女の逃避行がサスペンスフルに描かれて面白かったのに、肝心のオチで全てをぶち壊す…。

ただ、全体的に駄作、愚作、と言うほどの代物では決してなく見所は多いし、チャールズ・ロートンの見事なカメラワークなど洗練された話術でぐいぐい引き込まれる。保護観察官とデキる元犯罪者の女のラブストーリーという突拍子もないシナリオは、明らかにフラー特有のアレゴリズムに満ちた寓話と言える。

たしかに全体的にバランスは悪いのだが、なぜか画面に見入ってしまう不思議な魅力のある作品である。
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